強度設計をする前にはかならず安全率を決めます。
安全率とは、材料持つ強度のどこまでギリギリを攻めるかを設定したものです。
例えば100の力が掛かると千切れる材料に50まで力が掛かるような設計にすると、安全率は2です。
安全率を大きくとると安全にはなりますが、寸法は大きくなりますので、重くてコストの高い設計になります。
よく言われる値は、動かないものは3~6、繰り返し動くものは6~10、衝撃が加わるものは15~30。人命にかかわるものは、その2倍にする。などかと思います。
製品のコストに直結するものですので、具体的にどんな値にするかは、重要な企業秘密にもなりうるものです。
では、DIYでどれくらいの値で考えるかというところですが、基本的には素人仕事なので、多少の作業不良があっても問題ないように、大きめに6くらい取っておくのがよいと思います。
棚などの、人が乗るわけでもなく、壊れたところで致命的な損害が出ないようなものは6くらいのイメージになると思います。
一方でイスや台などの人が乗るものや、何かを吊るすものなど、壊れた時の損害が大きなものは、15くらいはあってもいいと思います。
また、屋外で使いダメージが大きいと予想されるものは、その2倍くらい考えておくという視点もあるでしょう。
ちなみに、作業不良や、予想外のダメージと書きましたが、安全率の設定で考慮されているものは、一般的には以下のものとされています。
・想定以上の荷重負荷
・想定以上の環境(高温・高湿)
・量産における出来栄えのバラつき(公差内の変動)
・強度計算の精度不足
・材料の劣化・腐食
一方で安全率に含まれないものもあります。
・意図的に破壊される場合の荷重
・天変地異による影響
・材料強度のバラつき⇒これは材料の限界強度を平均値よりも下げることで対応します
・材料の疲労強度のバラつき ⇒ これは機械の運用期間に余裕を持たせることで対応します