晴耕雨読

日々の晴耕雨読の履歴です。

力とモーメントとトルク

材料力学で言う力は、日常的に使う「力」とほぼ同じです。

 

モーメントは、対応する日本語がないのですが、強いて言うと曲げる力でしょうか。

モノに掛けている力と、実際に力を掛けている場所と曲がっている場所までの長さの掛け算がモーメントになります。

 

掛け算なので、力は同じでもモーメントが違うということが起こります。

例えば、水の入ったバケツを持つ場合、足元のバケツをまっすぐ持ち上げるのと、足元から少し離れた場所にあるバケツを腕を伸ばして持ち上げるのとでは、少し離れたバケツを持ち上げる方が圧倒的に重く感じるはずです。バケツの重さは同じはずなのに。

これは力の掛かる肩から見た場合、掛かっている力(バケツの重さ)は同じですが、力を掛けている場所までの長さ(腕を伸ばす長さ)が異なっており、腕を長く伸ばしている方がモーメント(力×長さ)が大きいため、肩に掛かる負荷が大きくなるからです。

 

一方でトルクも力×長さであることはモーメントと同じですが、特にモノを捻じる力を指すときに使います。モノが動かない場合には、捻じる力になりますし、動く場合は回転させる力になります。

これもモーメントと同じで、力は同じでもトルクが違うことが起こります。

これは短いレンチよりも長いレンチの方が強くボルトを締められることに相当します。

 

ちなみに、中国語ではモーメントは「力矩」と書くようです。矩は定規とか直線とかいう意味のようです。トルクは「扭矩」のようです。扭は、捻じることですね。

 

なお、材料力学ではモノに力が働いても動くことは考えず、変形することだけを考えます。実際のモノは、力を掛けると変形しつつ動き出すことがありますが、一度に両方のことを考えると難しいので、材料力学では動かないようモノを止めて、その場合の変形だけを考えます。

止める方法はいろいろですが、主には両側から同じ力を掛ける状態を想定していることが多いです。両手で何かを左右に引っ張るようなイメージでしょうか。

DIYでイスや机や棚など、動かないものを設計する場合は、動きを考える必要はないので、これで十分だということになります。